SharePointを文書管理システムとして使う際に押さえておきたいポイント!

株式会社PFU 千葉辰典


今回のTipsで10回目!実は、弊社担当の最終回となります。
忙しさにかまけて途中月単位で寄稿できず…もし楽しみにされていた方がいたと思うと申し訳なく反省しております。

 

前置きはさておき…
弊社のTipsではSharePointでの「ドキュメント検索」をキーワードに、弊社が実際に陥ったトラブル事例に触れながら、仕様や対処・対策について言及してきました。

検索に関して、実際にお客様とお話しをすると【検索=全文検索(ドキュメント内テキストの検索)】であり、特に紙文書を電子化して登録する際にはOCR(光学文字認識)精度が第一優先事項と認識されている方が多くいらっしゃいます。どちらかと言うと、ファイルサーバ的な利用方法でしょうか。

管理する文書や利用目的によっては、それで問題なく利用できているケースは多くありますが…

ファイル名や文書内に含まれているであろう文言を推測し、検索をしてみて、ヒットすればラッキー。
 ↓
でも、関係ない文書まで見つかり、玉石混こうの中から目的の文書に辿りつけない。
 ↓
見つけられないので他人に聞いて回って、それでもなければ諦める。

…と言う経験はないですか?

 

文書管理の観点で述べさせていただくと、せっかくSharePointと言うステキなシステムを使うのであれば、登録された情報(=資産)を「活用」、つまり、「探せる」ように構築すべきと考えます。登録・管理に主眼を置く「文書管理システム」を基盤として、情報共有・資産活用を促進するための「文書活用システム」へ、と言うことですね。

具体的には『登録するドキュメントに有用なプロパティ情報を"正しく"付けて、利用者が迷うことなく目的の文書に辿りつけるようにする』。所謂一般的な「文書管理」としても至極単純な結論ですが、正しいプロパティ情報が付いていればこそ、高度な「検索」「抽出」「仕分け」「保持」が実現できます。 

  • プロパティ情報を使った検索

業務の中で文書を探す際には、「顧客名は何か」「案件名は何か」「製品名/型番は何か」「契約番号/注文番号/見積番号は何か」「担当者は誰か」「登録したのは誰か」…などと言った『目的に合うものを探す』探し方が一般的です。 SharePoint標準機能で言えば、管理プロパティを使った検索を実装することで実現できます。

  • 全文検索:
    文字列「千葉」で検索すると、ファイル名などプロパティ情報に加えて、文中にある住所:千葉県や、会社名:千葉○○株式会社や、名前:千葉太郎など、すべてヒットする。
  • プロパティ検索:
    任意の[住所]プロパティ、[会社名]プロパティ、[担当者]プロパティに対して、文字列「千葉」を含むものだけを見つけられる。
  • プロパティ情報を使った抽出

検索と類似していますが、「2015年度のもの」「分類/カテゴリーが○○のもの」「ステータスが○○のもの」「契約期間が3月31日までのもの」「価格が○円以上のもの」…などと言った『条件に合うものを探す』探し方が可能となります。 SharePoint標準機能で言えば、「メタデータ ナビゲーションとフィルター処理」機能や、リストビューのフィルター適用で実現できます。

  • プロパティ情報を使った仕分け

「契約書はこのライブラリのこのフォルダ」「図面はこっちのライブラリ」「このコンテンツタイプはあっちのサイト」…など、文書の種類・状態を元にして適切な場所に振り分けることが可能です。SharePoint標準機能で言えば、コンテンツオーガナイザー機能や、Designerを使ってワークフローを作成することで実現できます。

  • プロパティ情報を使った保持

仕分けの一種ではありますが、「あと少しで契約完了日を迎えるものをワークフローに回す」「保存年限を超えたものをゴミ箱に移動する」…と言った、文書のライフサイクルを実装できます。SharePoint標準機能では、情報管理ポリシーの保持機能で実現できます。

 

しかし、いざ 文書管理(活用)を検討していくと、SharePoint標準機能だけでは充足できないことに気づきます。
また機能面だけではなく、運用面からも、『プロパティ情報を入力するのは手間がかかるので現実的でない』と言う現場からの抵抗にあうこともあります。

そんな、SharePointを文書管理(活用)システムとして検討する際によく問われる"あるある"と、解決策となり得るヒントをいくつか挙げてみたいと思います。書きだすとキリがないので、ちょっとだけ…。

  1. "名前""タイトル"
     ドキュメントライブラリでの"名前"は登録する文書のファイル名であり、"タイトル"はアイテムコンテンツタイプから継承されるもの。
    • 登録する文書の名前(ファイル名)が重複すると、ファイルサーバと同様に上書きとなる。
    • Office文書の場合で文書に"タイトル"プロパティが指定されていると、SharePoint側の"タイトル"プロパティに引き継がれる。
    • Office文書以外は必須または任意で入力する必要があり、形式によって違いがあるため、利用者に不親切。
    • ファイルサーバのように、ファイル名=タイトルとして文書を扱うことに慣れていると、タイトルプロパティは冗長的。
    • (事例)既定のタイトルプロパティを"非表示"にしてあえて使わない。
    • (事例)既定のタイトルプロパティとは別に新規プロパティ「文書タイトル」を追加して検索に利用。
    • (事例)文書登録後にワークフロー機能で名前(ファイル名)をタイトルプロパティにコピー。
    • (事例)文書登録後にワークフロー機能でタイトルプロパティを名前(ファイル名)にコピー。
    • アドオン製品"KnowledgeLake Imaging"の正規表現機能を使えば、タイトルを命名規則通りに入力させることも可能!(SharePointの検証機能では不可)
      Tips10_02.jpg
  2. Office文書のプロパティとSharePointのプロパティとの連携
    Office文書のプロパティとSharePointのプロパティは、双方向で連携させることが可能。
    一度SharePointに登録したOffice文書をダウンロードすると、Office文書のプロパティに、SharePoint側で付けたプロパティが勝手に付いてきてしまう。これに気づかず流用して再登録すると、ファイル名や文書内を変えてもSharePoint側にこのプロパティが反映されてしまうので注意。
    Tips10_03.jpg
  3. ライブラリ内の文書を「コピーのダウンロード」するとファイル名(=名前)が途切れる
    「コピーのダウンロード」機能では、SharePointの仕様によって長いファイル名は欠落してしまう。
    • ファイル名を右クリックして、ブラウザのコンテキストメニューから「対象をファイルに保存」すれば良い。
    • アドオン製品"KnowledgeLake Imaging"では、長いファイル名も欠落させずにダウンロード可能!
  4. ドキュメントライブラリのフォルダ
    SharePointではフォルダまたは文書の移動が簡単にはできないため、ファイルサーバのような階層管理には向いていない。
    • 通常のフォルダはできれば使わない。(ただし、ドキュメントセットは除く)
    • フォルダを使う場合、第一階層レベルだけなど、必要最低限のフォルダだけ用意する。
    • 文書の移動・コピーができるSharePoint用製品の導入を検討する。
    • (事例)フォルダは使用せず、すべての文書をフラットに管理。ビューの「グループ化」機能や「メタデータ ナビゲーションとフィルター処理」機能を使って階層表現。
    • アドオン製品"KnowledgeLake Imaging"では、プロパティを使って自由にグルーピングして、仮想フォルダ的に階層表現することが可能!
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  5. 複数ある同一案件の文書の管理
    フォルダではなく、ドキュメントセットを活用する。ドキュメントセットには、病院の患者フォルダのように、フォルダ自身にプロパティを持たせることができ、またそこに登録する文書に同じプロパティを自動的に継承させることができる。
    • ドキュメントセットに案件情報を設定し、登録する文書に同一案件情報を継承。それとは別に、文書には文書固有のプロパティを設定。
    • 案件情報を持たせたフォルダ(ドキュメントセット)自身を、プロパティ検索。
    • 文書登録時に、継承するドキュメントセットのプロパティまで表示されて変更可能だが、変更しても無意味(登録後に継承値で補正される)。
    • アドオン製品"KnowledgeLake Imaging"では、表示させたくないプロパティ(ここでは継承するドキュメントセットのプロパティ)を非表示や変更不可とすることが可能!
  6. プロパティ入力の簡素化
    文書登録時の手入力によるプロパティ付与は、「手間」「入力ミス」「揺らぎ」の観点で嫌われるため、工夫が必要。
    • 何を入力させたいかではなく、どう言ったプロパティで探すことが多いかを見極める。
    • テキスト入力ではなく、揺らぎをなくすために選択肢と"管理されたメタデータ"を活用する。
    • (事例)プロパティは十数個用意するが、「大分類」と「中分類」だけ必須(選択肢)にし、残りは任意入力。
    • (事例)ドキュメントセットを活用し、そこに文書を登録するだけで必要なプロパティを継承させる。
    • アドオン製品"KnowledgeLake Imaging"では、特定のキーをトリガーにDB等から情報を取得したり、選択肢を絞り込ませたりすることが可能!(例:契約番号を入力すると、DBから案件名や顧客名を取得してくる。都道府県を選択すると、市町村を絞り込む。)
  7. バージョン管理
    ファイルサーバと比較して文書管理システムの利用メリットに挙げられるバージョン管理。しかしSharePointが管理するバージョンと文書の版数の概念が異なる点に考慮が必要。
    • SharePointのバージョン管理機能では、文書の編集だけではなく、プロパティを修正しても更新される。
    • 旧バージョンを復元すると、それが最新のバージョンとなる。
    • ファイル名を変更した場合、バージョン履歴からは過去の名前には復元できない。(名前はバージョン管理対象外)
    • (事例)SharePointのバージョン管理機能はバックアップ機能と位置付け、文書の版数を管理したければ個別でプロパティを用意して管理する。(Office文書の場合、プロパティを連携させるのも可)

 

最後に、文書管理にセオリーはあっても、正解があるものではありません。また、いかにすばらしいシステムを構築したとしても、使う利用者側が習熟していなかったら活用されずに残念な結果になり得ます。以下に挙げるポイントが、成功させるために大事だと弊社では考えています。

  • 管理対象の特性、企業/部署の文化・習慣、ITインフラの制限などを踏まえて、ベストな方法を模索する。
  • 細かい要件主体でゴリゴリ作り込むのではなく、妥協点を見極めながら可能な限りSharePointもアドオン製品も標準機能で運用できるように(業務を)工夫する。
  • システムにすべての処理を負わせるのではなく、ある程度、運用者/利用者の手も借りる。
  • システム稼働後も、試行錯誤しながら改善していく。
  • 納得できる運用ルールを定めて、トップダウンで利用者の教育/フォローを継続する。

 

本Tipsを、あくまでも一つの考え方として、参考にしてみてください。

弊社(株式会社PFU)では、自社で培ったSharePoint&文書管理のノウハウと、SharePoint向けアドオンソリューション「ドキュメントソリューション for SharePoint」で、紙文書・電子データの積極的活用を実現するお手伝いをしています。
ご興味のある方は、こちらからお問い合わせ下さい。

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以上。